パイプの呼称・外径寸法体系
主にプラント配管などで多く使用される鋼管など、パイプの外径は、チューブなどと異なり、その呼んでいる寸法が配管の内径又は外径をそのまま表していないので少々複雑になっています。
これは、日本における配管の寸法体系はアメリカの影響を受けていることにも由来します。
配管の外径寸法を表現するのには、『呼び径』という方法が用いられます。
また、JIS配管とANSI配管では、同じ呼び径(呼称口径)でも、若干外径サイズの異なるものもあります。
■ 呼び径|A呼称とB呼称
配管の外径サイズを表現する呼び径(呼称口径)には、以下の二通りがあります。
- A呼称
- 読み方:えーこしょう
寸法体系:ミリメートル系
例:100A、150A、200A
(読み方:それぞれ、100えー、150えー、200えー) - B呼称
- 読み方:びーこしょう
寸法体系:インチ系
例:4B、6B、8B
(読み方:それぞれ、4インチ、6インチ、8インチ)
なお、B呼称の場合は、以下の例のように分数の表記で表されるサイズもあります。
- 3/8B
- 読み方:『はちぶんのさんインチ』又は『さんぶ(三分)』
対応するA呼称サイズ = 10A - 1/2B
- 読み方:『にぶんのいちインチ』又は『よんぶ(四分)』
対応するA呼称サイズ = 15A - 1・1/2B
- 読み方:『インチはん(いちインチはん)』
対応するA呼称サイズ = 40A
このように呼び径にはA呼称とB呼称がありますが、どちらの呼び系で表現しても、表している外径サイズは同じ配管になります。
つまり、『2Bの配管の外形寸法は?』、『50Aの配管の外形寸法は?』・・・JIS配管では、答えはどちらも 『60.5mm』ということになります。
(呼称の方法が違うだけで同じサイズの配管を指しているということです。)
※但し、後述するように、同じ2B(又は50A)の配管でも、ANSI配管の外径は 『60.3mm』であり、JIS配管の外径とは若干異なるので注意が必要です。
なお、パイプは外径基準で製作されているため、JIS配管であれば銅や非金属類の配管を除いては、SGPでもSUS304TPなどのステンレス配管でも材質による外径の相違はありません。
A呼称とB呼称の対応は以下の表の通りです。
■ JISとANSI配管の外径相違
日本で生産されるパイプは、その大部分がJIS配管ですが、外国規格の配管も一部生産・使用されています。
外国規格の配管は主にANSI配管になりますが、ANSI配管は、海外のプラント設備や海外で生産された装置を用いるような設備で使用される配管では、JIS配管が使えない場合などに用いられるケースがあります。
注意すべきは、JIS配管とANSI配管では同じ呼び径のパイプでも、外径寸法が若干ことなるということです。
以下の表は、JIS規格配管とANSI規格配管の外径を表したものです。
- JISとANSI配管の外径比較表
上の外径比較表において、黄色に網掛けされている呼び径は、JIS配管でもANSI配管でも外径が同じになる呼び径です。
また、呼び径が 14B(350A) 以上については、B呼称の呼び径がそのまま外径寸法を表すとともに、JIS配管とANSI配管の外径が同じになります。