配管肉厚寸法体系|スケジュール番号方式、ウェイト方式、パイプ肉厚寸法表など
一般にパイプの肉厚は、パイプ内部を流れる流体の温度・圧力及びパイプ材質などを基準にして計算決定されます。
プラント設備などの配管の場合、パイプ肉厚の計算式は、その装置に適用される法規などによって異なりますが、それぞれの計算式に大きな差異はありません。
圧力容器構造規格や高圧ガス保安法などに規定される計算式などが一般に用いられます。
配管肉厚の寸法体系には、スケジュール番号方式(Schedule No.方式)、ウエイト方式、ミリメートル方式がありますが、配管用鋼管に用いられるパイプの多くはスケジュール番号方式のパイプ肉厚寸法が使われています。
■ スケジュール番号方式によるパイプ肉厚寸法
配管用鋼管に用いられるパイプの肉厚は、多くの場合、スケジュール番号方式(Schedule No.方式)の肉厚体系になっています。
- JIS G 3452 配管用炭素鋼管
- JIS G 3457 配管用アーク溶接炭素鋼鋼管
- JPI-7S-14-97 石油呼工業配管用アーク溶接鋼管
- 非鉄管など
上記の鋼管以外のパイプは、スケジュール番号方式の肉厚体系になっています。
スケジュール番号方式には、ノルマルスケジュール系と、スインスケジュール系とがあり、それぞれ以下のようなスケジュール番号があります。
【スケジュール番号方式】
- ノルマルスケジュール系
- Sch10、Sch20、Sch30、Sch40、Sch60、Sch80、Sch100、Sch120、Sch160
- スインスケジュール系
- Sch5S、Sch10S、Sch20S、Sch30S、Sch40S、Sch80S
SSU304TP、SUS304TPY などに代表されるオーステナイト系ステンレス鋼管は、その引張強さが他の一般炭素鋼鋼管に比較して非常に大きく、同一のスケジュール番号の肉厚では強度的に余裕がありすぎて不経済であるため、同一スケジュール番号でも若干肉厚を薄くした番号を設けたものが、スインスケジュール系となります。
上記のように、スケジュール番号のあとに”S”を付けて表しています。
スケジュール番号方式は、使用圧力P と 許容応力S によって肉厚体系を表示するもので、以下の式によって表すことが出来ます。
- スケジュール番号(Sch)=(P/S)×10
P:設計圧力(kg/cm2)
S:設計温度におけるパイプ材料の許容応力(kg/mm2)
この計算式を用いれば、使用すべきスケジュール番号を知ることが出来ます。
例えば、パイプにSTPG370-Sを使用し、設計温度を250℃、圧力Pを35kg/cm2とすると、JISから、S=9.5kg/mm2なので、上記スケジュール番号の計算式に当てはめると、
スケジュール番号(Sch)=(35÷9.5)×10≒37
となり、Sch40 のパイプを使用する必要があることが分かります。
■ ウェイト方式(ウエイト系)
この方式は、パイプの単位長さ当たりの重量を目安として、MSS(Manufacturers Standardization Society)が出した配管肉厚のシリーズです。
以下に示す3種類について規定されています。
- Std(Standard Weight):スタンダードウェイト
- XS(Extra Strong or Extra Heavy):エキストラストロング
- XXS(Double Extra Strong or Double Extra Heavy):ダブルエキストラストロング
■ ミリメートル方式
パイプ肉厚がミリメートル系の配管は、超高圧配管などに用いられる場合があります。
超高圧配管などの場合は、前述のスケジュール管では強度的に対応できず、肉厚強度計算をそのつど実施して経済的なパイプ肉厚の決定が行われます。
ミリメートル系のパイプの表示方法は、外径及び内径をミリメートルによって行い、基本的に体系化されていません。
■ パイプ肉厚寸法表
前述のようなパイプ肉厚体系による、配管の肉厚寸法表の一例を以下に示します。