配管の接続などに用いる継手(フィッティング)の種類や用途

配管継手・フィッティングの種類・用途

配管継手は、管継手やフィッティングとも呼ばれ、配管系の組立には欠かせない配管材料・配管部品です。
管継手は、”くだつぎて”又は”かんつぎて”と呼ばれます。

配管継手は、JISによれば、以下のような目的で配管(パイプ)の接続などに用いる継手と定義されています。

  • 流体の方向転換
  • 流体の分岐、又は集合
  • 管の接続
  • 管径の異なるものとの接続
  • 管の末端の閉鎖
  • 計器、バルブなどの取付け
  • 膨張、収縮などの吸収
  • 管の回転、又は屈曲

配管継手には、その使用用途や目的、材質、接続するパイプの種類などによってたくさんの種類の配管継手があります。
主な配管継手の種類には以下などが挙げられます。

  • エルボ:Elbow(90°エルボ、45°エルボ、ショートエルボ、ロングエルボなど)
  • ベンド:Bend
  • レジューサー:Reducer
  • ティー:Tee(T、ティーズ、チーズなどともいう)
  • Y(45°Yなど)
  • クロス:Cross
  • ソケット:Socket
  • カップリング:Coupling
  • キャップ:Cap
  • プラグ:Plug
  • ユニオン:Union
  • 組フランジ:Flange Union
  • ブッシング:Bushing
  • 止めナット:Lock Nut
  • ニップル:Nipple
  • ハーフカップリング:Half Coupling
  • タッカ:Tacker
  • Uトラップ:U Trap
  • スタブエンド:Stub End
  • アウトレット:Outlet
  • マイタベンド:Miter Bends
  • 可動式フィッティング(回転管継手、スイベル管継手など)
  • ベローズ形伸縮継手(ジンバル式・ヒンジ式・ユニバーサル式・スイング式など)

ねじ込み又は差込み溶接エルボ・突合せ溶接エルボ

また、JISには用途や材質(可鍛鋳鉄製、鋼管製、SUS304等ステンレス鋼製、アルミニウム合金製、ダクタイル鋳鉄製、銅合金製、塩ビ継手等プラスチック製など)、接続配管の違い(ねじ込み形、差込み溶接形、突合せ溶接形、フランジ継手)などによって各種の管継手規格があります。
主な配管継手のJIS規格には以下などがあります。

  • JIS B 2301 ねじ込み式可鍛鋳鉄製管継手
  • JIS B 2302 ねじ込み式鋼管製管継手
  • JIS B 2303 ねじ込み式排水管継手
  • JIS B 2308 ステンレス鋼製ねじ込み継手
  • JIS B 2311 一般配管用鋼製突合せ溶接式管継手
  • JIS B 2312 配管用鋼製突合せ溶接式管継手
  • JIS B 2313 配管用鋼板製突合せ溶接式管継手
  • JIS B 2316 配管用鋼製差込み溶接式管継手
  • JIS B 2321 配管用アルミニウム及びアルミニウム合金製突合せ溶接式管継手
  • JIS B 2352 ベロ−ズ形伸縮管継手
  • JIS B 8607 冷媒用フレア及びろう付け管継手
  • JIS G 3451 水輸送用塗覆装鋼管の異形管
  • JIS G 5527 ダクタイル鋳鉄異形管
  • JIS H 3401 銅及び銅合金の管継手
  • JIS K 6739 排水用硬質ポリ塩化ビニル管継手
  • JIS K 6743 水道用硬質ポリ塩化ビニル管継手
  • JIS K 6770 架橋ポリエチレン管継手
  • JIS K 6775-1 ガス用ポリエチレン管継手−第1部:ヒートフュージョン継手
  • JIS K 6775-2 ガス用ポリエチレン管継手−第2部:スピゴット継手
  • JIS K 6775-3 ガス用ポリエチレン管継手−第3部:エレクトロフュージョン継手
  • JIS K 6777 耐熱性硬質塩化ビニル管継手
  • JIS K 6779 ポリブテン管継手
  • JIS K 6788 水道用架橋ポリエチレン管継手
  • JIS K 6793 水道用ポリブテン管継手
  • JIS K 7014 繊維強化プラスチック管継手

それぞれのJIS規格の概要など、詳しくはこちらを参照ください。⇒配管継手規格


■ 配管継手|エルボ・ベンド・ユニオン・キャップ・カップリング・レデューサーなど

各種の配管継手(フィッティング)の種類やその用途などについて、以下に説明します。

エルボ(elbow)
互いにある角度をなす二つの管の接続に用い、曲率半径が比較的小さい管継手で、その曲がり角度によって45°、90°、180°に分類される。
エルボの外径をDとすると、曲げ半径が、1.5Dと1.0Dの2種類があり、それぞれロングエルボ、ショートエルボと呼ばれる。
一般にはロングエルボがよく使用され、単に90°エルボなどと呼ばれる。
ショートエルボは、配管レイアウト上、周囲にスペースが無い場合などに使用される。
エルボ
エルボ
ベンド(bend)
互いにある角度をなす二つの管の接続に用い、曲率半径が比較的大きい管継手で、エルボと同様その曲がり角度及びその曲げ半径によって、45°、90°、180°、ショート、ロングなどと呼ばれている。
エルボとベンドは、その形状は全く同一であるが、曲げ半径及び中心から端面までの距離が異なる。
つまり、エルボの半径は、ロングで1.5D、ショートエルボで1.0Dであるのに対し、ベンドはパイプ外径Dの約5倍(ロング)及び4倍(ショート)であり、中心から端面までの距離は、エルボの場合はその半径と同じ寸法であるが、ベンドはその半径より長いのが普通である。
ベンド
ベンド
曲率半径が著しく小さい、返しベンド というのもある。
返しベンド(リターンベンド)
返しベンド(リターンベンド)
クロス(cross)
四つの管を十字状に接続するために用いる十字形の管継手で、ねじ込み形及び差込み溶接形が一般的である。
一般には水その他のあまり温度のない配管系に用いられ、装置配管などにはあまり使用されていない。
クロス
クロス
45°Y(lateral)
三つの管をY字状に接続するために用いるY形の管継手で、45°に分岐する場合に使用される。
分岐部の圧力損失が少なく流体の流れから見た場合は有利であるが、あまり装置配管などには使われない。
地下に埋設される水や排水管などの鋳鉄管やヒューム管などに多く利用される。
45°Y(わい)
45°Y(わい)
レデューサー(reducer)
直径が異なる二つの管を、同一直線上又は平行にずらして接続するために用いる主として突合せ溶接式の管継手で、直管部分で配管サイズを変える場合に使用される。
同心レデューサーと偏心レデューサーとがある。
偏心レデューサーは、ポンプ吸込み配管やパイプラック上の配管など、その設計施工上、配管サイズの大きいパイプと小さいパイプの底面或いは上面などを合わせて一直線にする必要のある場合に用いられる。
同心レデューサーはその他の場所に使用される。
レジューサ
レジューサー
カップリング(coupling)
二つの管を直線状に接続するために用いる主としてソケット溶接式の管継手で、ねじ込み式もある。
呼び径40A以下の溶接接続の配管では、直管部で配管サイズ径を変える場合、径違いのカップリングを用いる。
カップリング
カップリング
ボス(boss) 及び アウトレット(outlet)
本管に引出し穴をあけ、枝管を接続する管継手で、分岐管が主管のサイズよりも非常に小さく市販のT(ティー)が使用できない場合などに用いられる。
ねじ込み形、差込み溶接形、突合せ溶接形などの形式がある。
アウトレット
アウトレット
キャップ(cap)
管の末端を閉鎖するために用いる帽子状の管継手で、ねじ込み形、差込み溶接形、突合せ溶接形などの形式がある。
キャップ
キャップ
ユニオン(union)
ユニオン式の組立管継手で、フランジと同様、配管の途中に設けて配管の脱着を容易にしている。
この接続方法には、ねじ込みと差込み溶接とがあり、シール面は金属と金属が接触してシールするものや、その間にパッキンを使用するものなどがある。
一般に低圧であまり温度の高くない配管系に使用される。
また、ねじ込み継手を使用している配管系の場合には、ねじ部からの漏れがあった場合、ネジ部の増し締めが必要であり、この場合の対策としてユニオンを設けておき、増し締めを容易にするようにする利用方法がある。
なお、ユニオン式とは、部品をユニオンナット及びユニオンねじで挟んで接続する接合方式のこと。
ユニオン
ユニオン
ユニオン式
ユニオン式


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