フランジ規格|JISフランジ規格、ANSIフランジ規格、JPIフランジ規格など

一般に用いられるフランジには、JISフランジ規格、JPIフランジ規格、ANSIフランジ規格などの規格フランジがあります。
これらの規格フランジは使用される用途や分野、サイズ・寸法、材質、圧力-温度レーティング(P-Tレーティング)、使用環境(腐食性等)、設計条件、取付機器側フランジの条件などによっても使い分けられるのが通常です。

ここでは、さまざまな分野・用途に適用されるフランジ規格についてまとめています。
各分野で広く一般に用いられているJISフランジ規格、JPIフランジ規格、ANSIフランジ規格など、規格の種類やその概要など、フランジ規格に関する情報について。

ネックフランジ、遊合形フランジ(ラップジョイント/ルーズフランジ)


■ JISフランジ規格|鋼製・鋳鉄製・アルミニウム合金製、フランジの計算基準など

JIS規格フランジとは、化学装置のほか、一般に広く最もよく使用されるフランジ規格です。

代表的なJIS規格フランジである、JIS B 2220(鋼製管フランジ)では、各種の鋼管・パイプ、バルブなどの配管部品を接合する呼び圧力 5K、10K、10K薄形、16K、20K 及び 30K の呼び径10Aから1500Aまでの鋼製管フランジが規定されています。

なお、JIS B 2220 によるJISフランジ製品の呼び方は、一般に以下のような呼び方になっています。

例1. JIS B 2220 SOP FF ZN 5K 300A SS400
又は、
鋼製管フランジ、スリップオン溶接式フランジ(板フランジ)、全面座、白フランジ、5K、300A、SS400
例2. JIS B 2220 LJ 5K 450A SF390A
又は、
鋼製管フランジ、遊合形フランジ(ルーズフランジ、ラップジョイント)、5K、450A、SF390A
例3. JIS B 2220 TR FF 10K 80A SCS13A
又は、
鋼製管フランジ、ねじ込み式フランジ、全面座、10K、80A、SCS13A
備考:
一体形フランジ(IT)を除くフランジ製品の呼び方は、上記の例のように、規格番号又は規格名称、フランジの呼び方又は種類、ガスケット座の呼び方又は種類、呼び圧力、呼び径及び材料記号によります。
白フランジ(溶融亜鉛めっき又は電気亜鉛めっきを施したフランジ)の場合に限り、亜鉛メッキの有無による呼び方(ZN)を付記します。

JIS B 2220(鋼製管フランジ)をはじめ、JISに規定されるフランジ規格には、真空装置用、油圧用、冷媒用、船用などを含めると、以下のようなJISフランジ規格があります。

JISフランジ規格

JIS B 2220 鋼製管フランジ
英文(英語名):
Steel welding pipe flanges
概要:
蒸気、空気、ガス、水、油などの一般配管(JIS G 3452 配管用炭素鋼管 を用いた配管及び JIS G 3457 配管用アーク溶接炭素鋼鋼管 のパイプを用いた配管)、圧力配管(JIS G 3454 による圧力配管用炭素鋼鋼管を用いた配管)、高圧配管(JIS G 3455 による高圧配管用炭素鋼鋼管を用いた配管)、高温配管(JIS G 3456 による高温配管用炭素鋼管を用いた配管)、合金鋼配管(JIS G 3458 による配管用合金鋼鋼管を用いた配管)、及びステンレス配管(JIS G 3459 による配管用ステンレス鋼管を用いた配管及び JIS G 3468 による配管用溶接大径ステンレス鋼管を用いた配管)に使用する鋼管、バルブなどの配管部品を接合する呼び圧力 5K、10K、10K薄形、16K、20K 及び 30K の呼び径10Aから1500Aまでの鋼製管フランジについて。
配管部品と一体にその一部を構成するフランジ(一体フランジ)も、この規格の適用範囲内である。
この規格の対応国際規格は以下となる。
・ISO 7005-1:1992 Metallic flanges -- Part 1: Steel flanges
定義、フランジの種類及びその呼び方、ガスケット座の種類及びその呼び方、亜鉛めっきの呼び方、材料、流体の温度と最高使用圧力との関係、フランジの呼び径及び圧力-温度基準の適用、寸法、外観、表面仕上げ、健全性、亜鉛めっき、製造方法、試験方法、検査、製品の呼び方、表示など。
鋼製管フランジの種類及びその呼び方(記号)は、フランジの形状によって区分し、以下の種類がある。
■溶接式フランジ:
・スリップオン溶接式フランジ(板フランジ):SOP
・スリップオン溶接式フランジ(ハブフランジ):SOH
・ソケット溶接式フランジ:SW
・突合せ溶接式フランジ:WN
■遊合形フランジ(ルーズフランジ、ラップジョイント):LJ
■ねじ込み式フランジ:TR
■一体フランジ:IT
■閉止フランジ(ブラインドフランジ):BL
なお、上記のスリップオン溶接式フランジ(ハブフランジ)(SOH)の呼び圧力20K及び30Kの形式には、A形、B形、及びC形がある。
ガスケット座の種類及びその呼び方(記号)は、以下のように区分される。
■全面座:FF
■平面座:RF
■はめ込み形:MF
・メール座:MF-M
・フィメール座:MF-F
■溝形:TG
・タング座:TG-T
・グルーブ座:TG-G
鋼製管フランジは、亜鉛めっきの有無により、以下のように呼ばれる。
■黒フランジ:亜鉛メッキを施さないフランジ。
■白フランジ(ZN):溶融亜鉛メッキ又は電気亜鉛メッキを施したフランジ。
鋼製管フランジの材料は、溶接に適したものとし、圧延材、鍛造材、鋳造材が用いられ、それぞれ炭素鋼、低合金鋼、ステンレス鋼のフランジがある。
(以下、材料記号の一例)
■炭素鋼:
・圧延材:SS400(JIS G 3101)、S20C・S25C(JIS G 4051)
・鍛造材:SF390A・SF440A(JIS G 3201)、SFVC1・SFVC2A(JIS G 3202)
・鋳造材:SC410・SC480(JIS G 5101)、SCPH1・SCPH2(JIS G 5151)
■低合金鋼:
・圧延材:−
・鍛造材:SFVAF1・SFVAF11A(JIS G 3203)
・鋳造材:SCPH11・SCPH21(JIS G 5151)
■ステンレス鋼:
・圧延材:SUS304・SUS316・SUS304L・SUS316L(JIS G 4304、JIS G 4305)
・鍛造材:SUSF304・SUSF316・SUSF304L・SUSF316L(JIS G 3214)
・鋳造材:SCS13A・SCS14A・SCS16A・SCS19A(JIS G 5121)
なお、上記の材料と同等以上と認められるASTM材料とISO材料が、参考として規定されている。
この規格には、以下に示す附属書がある。
附属書1(参考) フラッシュ溶接によって製造するフランジ
附属書2(参考) 鋼管の外径
附属書3(参考) ASTM材料及びISO材料の規格
附属書4(参考) 小平面座
附属書5(参考) 溶接式フランジの溶接部詳細
附属書6(参考) 呼び圧力2K、40K及び63Kのフランジ
附属書7(参考) フランジの計算質量
附属書8(参考) JISと対応する国際規格との対比表
JIS B 2239 鋳鉄製管フランジ
英文(英語名):
Cast iron pipe flanges
概要:
蒸気、空気、ガス、水、油などの流体に使用する鋼管を接合し、また鋳鉄製の管、管継手、バルブなどに使用する呼び圧力5K、10K、10K薄形、16K及び20Kの呼び径10Aから1500Aまでの鋳鉄製管フランジについて。
定義、フランジの種類及びその呼び方、ガスケット座の種類及びその呼び方、材料、流体の温度と最高使用圧力との関係、寸法、外観、ガスケット座面の仕上げ、試験方法、受渡検査、製品の呼び方、表示など。
鋳鉄製管フランジの種類及びその呼び方(記号)は、フランジの形状によって区分し、以下の種類がある。
■ねじ込み式フランジ:TR
■一体フランジ:IT
ガスケット座の種類及びその呼び方(記号)は、以下のように区分される。
■全面座:FF
■平面座:RF
鋳鉄製管フランジの材料は、所定の機械的性質を満足する材料とし、以下などの材料が用いられる。
■ねずみ鋳鉄:FC200(JIS G 5501)
■球状黒鉛鋳鉄:FCD-S(JIS B 8270)、FCD350・FCD400・FCD450(JIS G 5502)
■黒心可鍛鋳鉄:FCMB27-5・FCMB35-10・FCMB35-10S(JIS G 5705)
なお、上記の材料と同等以上と認められるASTM材料とISO材料が、参考として以下のように規定されている。
■ねずみ鋳鉄:ASTM A126-A/B、ISO 185-200/250
■球状黒鉛鋳鉄:ASTM A395、ISO 1083-350-22/400-15/450-10/600-3、ISO 2531-400-5
■黒心可鍛鋳鉄:ISO/DIS 5922-BF27-05/BF30-06/BF35-10、ASTM A47-32510
JIS B 2240 銅合金製管フランジ
英文(英語名):
Copper alloy pipe flanges
概要:
蒸気、空気、ガス、水、油などの流体に使用する銅及び銅合金管を接合し、また銅合金製の管継手、バルブなどに使用する呼び圧力5K、10K及び16Kの呼び径10Aから600Aまでの銅合金製管フランジについて。
定義、フランジの種類及びその呼び方、ガスケット座の種類及びその呼び方、材料、流体の温度と最高使用圧力との関係、寸法、外観、表面仕上げ、試験方法、検査、製品の呼び方、表示など。
銅合金製管フランジの種類及びその呼び方(記号)は、フランジの形状によって区分し、以下の種類がある。
■スリップオンろう付式フランジ:SO
■一体フランジ:IT
銅合金製管フランジのガスケット座の種類及びその呼び方(記号)は、全面座(FF)の1種類である。
銅合金製管フランジの材料は、以下の材料規格に規定された材料記号の機械的性質と同等以上の材料とし、ろう付式フランジの材料は、ろう付に適した材料とする。
■スリップオンろう付式フランジ(SO):
・CAC202(YBsC2)(JIS H 5120)
・CAC407(BC7)(JIS H 5120)
■一体フランジ(IT):
・CAC406(BC6)(JIS H 5120)、UNS No.C83600(ASTM B62/B271/B584)
・CAC402(BC2)(JIS H 5120)、UNS No.C90300(ASTM B271/B584)
・CAC407(BC7)(JIS H 5120)、UNS No.C92200(ASTM B61/B271/B584)
JIS B 2241 アルミニウム合金製管フランジ
英文(英語名):
Aluminium alloy pipe flanges
概要:
液体、空気、ガスなどの配管に使用するアルミニウム及びアルミニウム合金管、バルブなどの配管部品を接合する呼び圧力5K、10K及び16Kの呼び径10Aから600Aまでのアルミニウム合金製管フランジについて。
フランジの種類及びその呼び方、ガスケット座の種類及びその呼び方、材料、流体の温度と最高使用圧力との関係、寸法、外観、表面仕上げ、製造方法、検査、製品の呼び方、表示など。
アルミニウム合金製管フランジの種類は、突合せ溶接式フランジ(WN)の1種類とし、また、そのガスケット座は、平面座(RF)とする。
アルミニウム合金製管フランジの材料は、以下の材料又はそれらの材料規定に規定された材料記号の機械的性質と同等以上の材料とする。
■JIS H 4040:A5083BE、A5083BD、A6061BE、A6061BD
・対応ASTM材料規格(参考):ASTM B221(5083、6061)、ASTM B211(6061)
・対応ISO材料規格(参考):ISO 6362-1〜-5(AlMg4,Mn0,7、AlMg1SICu)、ISO 6363-1,-2,-4及び-5(AlMg4,Mn0,7、AlMg1SICu)
■JIS H 4140:A5083FD、A5083FH、A6061FD、A6061FH
・対応ASTM材料規格(参考):ASTM B247(5083、6061)
JIS B 2290 真空装置用フランジ
英文(英語名):
Vacuum technology−Flange dimensions
概要:
この規格は、次の組合せのフランジに互換性をもたせるため、真空技術に使用するフランジ及びカラーの寸法を規定し、ボルト締めフランジ、クランプ締めフランジ及び回転フランジに適用する。
(a)組み立てられるフランジが同種(例えば、ボルト締めフランジ同士、クランプ締めフランジ同士など)、又は異種(例えば、ボルト締めフランジがボルト又はクランプを用いてクランプフランジと組み立てられている場合、ボルト締めフランジがボルトと回転フランジを用いてクランプフランジと組み立てられている場合など)のいずれでもよい。
(b)フランジのシーリングは、シール線荷重に適合するものであれば エラストマーOリング又はメタルシールリングのいずれでもよい。
寸法、シール線荷重、真空フランジの口径及び適合管外径、真空フランジの配管方法など。
JIS B 2291 油圧用21MPa管フランジ
英文(英語名):
21MPa slip-on welding pipe flanges for hydraulic use
概要:
油圧機器、その配管などのうち、圧力21MPa以下に用いる管差込み溶接フランジについて。
種類、材料、形状及び寸法、外観、検査、製品の呼び方、表示など。
油圧用21MPa管フランジには、以下の記号で表される種類がある。
1)流路が真直のもの
・SHA:Oリングの溝あり、六角ボルトを使用。
・SHB:Oリングの溝なし、六角ボルトを使用。
・SSA:Oリングの溝あり、六角穴付ボルトを使用。
・SSB:Oリングの溝なし、六角穴付ボルトを使用。
2)流路が直角に曲がっているもの
・LSA:Oリングの溝あり、六角穴付ボルトを使用。
JIS B 8602 冷媒用管フランジ
英文(英語名):
Pipe flanges for refrigerants
概要:
冷凍装置及びヒートポンプ装置に用いる、配管用及び止め弁用の管フランジについて。
種類、形状及び寸法、材料及び加工、外観、検査、製品の呼び方、表示など。
冷媒用管フランジは、鋼製フランジと銅合金製フランジの2種類とし、主に用いられる冷媒、フランジの種類と形状、接続形式、接続方法及び最高使用圧力によって区分される。
JIS F 7804 船用5K銅合金管フランジ
英文(英語名):
Shipbuilding-5K copper alloy pipe flanges for marine use
概要:
船の配管に使用する銅合金管を接合する呼び圧力5Kの銅合金管フランジについて。
ここでいう銅合金管とは、アルミニウムブラス管とキュープロニッケル管をいう。
また、この規格に基づいて設計製作したフランジの品質保証は、受渡当事者間の責任で行わなければならない。
種類、流体の状態と最高使用圧力との関係、形状及び寸法、材料、外観、検査、製品の呼び方、表示など。
船用5K銅合金管フランジには、接合方法によって、以下の種類がある。
・B種:接合方法⇒ろう付、記号⇒B
・W種:接合方法⇒溶接、記号⇒W
JIS F F7806 船の280K及び350K油圧配管用差込み溶接式フランジ
英文(英語名):
Shipbuilding-Ships' 280K and 350K socket welding pipe flanges
概要:
呼び圧力280K及び350Kの船の油圧配管系に使用する配管用差込み溶接式フランジについて。
このフランジを船の安全及び推進に係わる重要な装置に適用する場合には、船級協会など関係先の確認を得る必要がある。
種類、材料、形状及び寸法、外観、検査、製品の呼び方、表示など。
船の280K及び350K油圧配管用差込み溶接式フランジには、呼び圧力及びOリングの有無によって区分され、以下の記号で表される種類がある。
1)呼び圧力 280K
280KA:Oリングの溝あり、最高使用圧力=28MPa
280KB:Oリングの溝なし、最高使用圧力=28MPa
2)呼び圧力 350K
350KA:Oリングの溝あり、最高使用圧力=35MPa
350KB:Oリングの溝なし、最高使用圧力=35MPa

また、上記のようなJIS規格フランジの応力計算基準などを規定した規格は以下になります。

JIS B 2205 管フランジの計算基準
英文(英語名):
Basis for calculation of pipe flanges
概要:
リングガスケットを用いるボルト締め管フランジの応力計算基準について。
フランジの計算において、この規格で取り上げるフランジの種類には以下がある。
(1)ルーズフランジ
(a)ラップジョイントフランジ:
スタブエンドと組み合わせて使用するフランジ。
(b)差込み形フランジ:
フランジをパイプにねじ込むか又は差し込んで溶接で取り付けるフランジ。
(2)一体形フランジ:
フランジをパイプと一体に鋳造若しくは鍛造したもの、又はフランジとパイプとが一体になるように完全溶込み溶接したフランジ。
(3)任意形フランジ
なお、全面形ガスケットを用いる全面座フランジの計算基準と、金属面接触フランジの計算基準については、付属する以下の参考に規定されている。
【参考1 全面形ガスケットを用いる全面座フランジ】
全面形ガスケットを用いる全面座フランジの応力計算方法について。
【参考2 金属面接触フランジ】
金属面接触フランジの応力計算方法について。
JIS B 2206 アルミニウム合金製管フランジの計算基準
英文(英語名):
Basis for calculation of aiuminium alloy pipe flanges
概要:
アルミニウム及びアルミニウム合金製のリングガスケットを用いるボルト締め円形管フランジの応力計算基準、内圧作用時にガスケット面に働く合計荷重(ガスケット反力)の計算基準及び設計圧力における所要ガスケット反力の計算基準について。
この規格において、計算に用いる荷重は、ガスケットを締め付けるとき及び内圧力が加わったときにフランジに作用する荷重であり、次に示すような荷重は考慮に入れない。
(1)フランジを据え付けるときに働く強制力
(2)使用中に接続する配管系から伝えられる外力
(3)使用中にフランジ内部に生じる熱応力
(4)使用中にフランジとボルトとの間の熱膨張差によって生じる応力
また、この規格は、ガスケット締付時及び内圧作用時のいずれの場合でも、ボルト穴の中心円の外側でフランジ面が互いに接触する場合には適用できない。
記号、フランジの種類、フランジの応力計算、フランジの剛性計算、所要フランジ板厚及び設計圧力など。
フランジの計算において、この規格で取り上げるフランジの種類には以下がある。
(1)ルーズ形フランジ
(a)ラップジョイント形フランジ:
スタブエンドと組み合わせて使用するフランジ。
(b)差込み形フランジ:
フランジをパイプにねじ込むか又は差し込んで溶接で取り付けるフランジ。
(2)一体形フランジ:
フランジをパイプと一体に鋳造若しくは鍛造したもの、又はフランジとパイプとが一体になるように完全溶込み溶接したフランジ。
(3)任意形フランジ
JIS B 2207 全面形ガスケットを用いるアルミニウム合金製全面座管フランジの計算基準
英文(英語名):
Basis for calculation of aluminium alloy pipe flanges with full face gasket
概要:
アルミニウム及びアルミニウム合金製の全面形ガスケットを用いるボルト締め円形管フランジの応力計算基準、内圧作用時にガスケット面に働く合計荷重(ガスケット反力)の計算基準及び設計圧力における所要フランジ板厚の計算基準について。
この規格において、計算に用いる荷重は、ガスケットを締め付けるとき及び内圧力が加わったときにフランジに作用する荷重であり、次に示すような荷重は考慮に入れない。
(1)フランジを据え付けるときに働く強制力
(2)使用中に接続する配管系から伝えられる外力
(3)使用中にフランジ内部に生じる熱応力
(4)使用中にフランジとボルトとの間の熱膨張差によって生じる応力
この規格は、ガスケット締付時及び内圧作用時のいずれの場合でも、ボルト穴中心円の外側でガスケットが一対のフランジ面によって圧縮されている場合だけに適用できる。従って、全面座フランジであっても、ボルト穴中心円の外側のガスケットが圧縮されていないか、又はフランジ面と接していない場合には、JIS B 2206(アルミニウム合金製管フランジの計算基準)によるのが良い。
また、この規格は、内径、外径及びボルト穴中心円の直径が同一寸法をもつものであれば、材質及び板厚のいかなる組合せのフランジについても適用できる。
記号、ハブ-フランジリング接続部のモーメント係数及びせん断力係数、全面形ガスケットを用いる全面座管フランジの諸量の計算、所要フランジ板厚及び設計圧力など。

■ ANSIフランジ規格|ANSIフランジとは?、JPIフランジとの関係・相違点など

ANSIフランジとは、一般には、ANSI-American National Standards Institute(アメリカ規格協会)を主体とする米国規格団体から発行される規格 『 ANSI/ASME B16.5 Pipe Flanges and Flanged Fittings 』によるフランジを指します。

ANSI/ASME B16.5 は、後述する JPIフランジ 『 JPI-7S-15 石油工業用フランジ 』の大元となっているANSIフランジ規格になります。

B16.5 には、”ASME”が併記されていますが、 ASME の承認も経て発行されている規格である背景などから ANSI/ASME B16.5 という表現になっています。

なお、ASMEとは、”American Society Of Mechanical Engineers”の略称で、日本機械学会(JSME)のアメリカ版ともいえる米国機械学会のことです。

ANSIフランジとJPIフランジの関係

一般に、ANSIフランジと言えば上記の ANSI/ASME B16.5 フランジを指します。
また、JPIフランジと言えば、一般に、後述する JPI-7S-15(石油工業用フランジ)のフランジを指します。

JPIフランジ(JPI-7S-15)は、もともと ANSIフランジ(ANSI/ASME B16.5)を参考にして制定されているフランジであるため、ほとんどの仕様において ANSIフランジと同等のフランジとなっています。

ただし、以下の2点においては、JPIフランジとANSIフランジには相違がありますので注意が必要です。

ANSIフランジとJPIフランジの相違点

1).フランジ内径寸法・サイズの違い
ANSIフランジとJPIフランジでは、全ての呼び径サイズで異なる訳ではありませんが、フランジ内径寸法が異なるものがあります。
理由は、フランジに接続するパイプ・配管の外径サイズ寸法が、日本とアメリカのパイプでは異なる、つまり、JIS配管とANSI配管では外径サイズ寸法が異なることが主な原因です。
JISとANSI配管の外径サイズ寸法の相違は、以下の比較表のとおりです。
JISとANSI配管の外径比較表
上の外径比較表において、黄色に網掛けされている呼び径は、JIS配管でもANSI配管でも外径が同じになる呼び径です。
呼び径が 14B(350A) 以上については、B呼称の呼び径がそのまま外径寸法を表すとともに、JIS配管とANSI配管の外径が同じになります。
2).フランジシール面(フランジフェイス面・ガスケット面)の仕上げの違い
ANSIフランジとJPIフランジでは、フランジのガスケット当たり面(フランジシール面或いはフランジフェイス面などともいう)仕上げが異なります。
ANSIフランジでは原則として、フランジシール面にセレーションが入りますが、JPIフランジには原則として入りません。
セレーションとは、以下の模式図のように、フランジガスケット面に渦巻き状(スパイラル)或いは同心円状(コンセントリック)の細い溝を施した仕上げ面のことをいいます。
ANSIフランジのフランジシール面のセレーションの模式図
このようなセレーションが加工された仕上面のことを、”セレーテッドフィニッシュ(Serrated Finish)”といいます。
これに対し、JPIフランジの場合は、フランジシール面にこのようなセレーションが入っていません(Smooth Finish)。
なお、一般にセレーションの加工方法としては、刃先のRが1.6mm以上のバイトを用いて、45〜55本/インチの溝を入れることにより、表面粗さ 125〜250AARH(JIS の二つ山に相当)に仕上げます。

ANSIフランジ規格

ANSI/ASME B16.5 をはじめとするANSIフランジ規格の一例を以下に示します。

ANSI/ASME B16.5 Pipe Flanges and Flanged Fittings
JPI-7S-15(石油工業用フランジ)の参考元となっているANSIフランジ規格。
ANSI/ASME B16.47_Addn_A Addenda to ASME B16.47-1996 LARGE DIAMETER STEEL FLANGES NPS 26 Through NPS 60
JPI-7S-43(石油工業用大口径フランジ)の参考元の一つとなっているANSIフランジ規格。
概要(英文):
This Standard covers pressure-temperature ratings, materials, dimensions, tolerances, marking, and testing for pipe flanges in sizes NPS 26 through NPS 60 and in ratings Classes 75, 150, 300, 400, 600, and 900.
Flanges may be cast, forged, or plate (for blind flanges only) materials, as listed in Table 1A.
Requirements and recommendations regarding bolting and gaskets are also included.
ANSI/ASME B16.36 Orifice Flanges
JPI-7S-73(石油工業用オリフィスフランジ)の参考元となっているANSIフランジ規格。
概要(英文):
Covers flanges (similar to those covered in BSR/ASME B16.5) that have orifice pressure differential connections. Coverage is limited to (a) welding neck flanges, Classes 300, 400, 600, 900, 1500, and 2500; and (b) slip-on and threaded flanges, Class 300.

■ JPIフランジ規格|石油工業用の各種フランジ規格・概要など

JPIフランジとは、社団法人石油学会が発行する規格であり、石油関係の装置一般に広く使用されているフランジ規格です。

主なJPIフランジ規格には、以下などがあります。

JPIフランジ規格

JPI-7S-15-05 石油工業用フランジ
概要:
主に石油工業用の機器や配管などのフランジに用いられるフランジ規格で、ANSI/ASME B16.5を参考にして作成された規格。
以下、規格の内容。
・適用範囲 クラス:
クラス 150、300、400、600、900、1500、2500、材料:炭素鋼、低合金鋼、ステンレス鋼、ニッケル、ニッケル合金-鍛造、鋳造(バルブ・継手)、板状、呼び径:15A〜600A
・圧力-温度基準:
P-Tレイティングの値はJPI-7S-65(フランジ及びバルブのP−Tレイティング)、フランジ温度、突合せ溶接形フランジの最大許容内径、全面座のP-Tレイティング、P-Tレイティング適用上の 留意事項、複数材料規格に適合するP-Tレイティング
・ガスケット、ボルト・ナット、スタブエンド
・材料(共通、フランジ、材料グループに適用するP-Tレーティング、ボルト・ナット、スタブエンド)
・製造方法(製造の基本原則、熱処理)
・形状・寸法・寸法許容差:
基本事項、ねじ込みフランジ、ロングウェルディングネック形フランジの寸法、ガスケット座の寸法、全面座のフランジ厚さ、一体フランジの厚さ、突合せ溶接形フランジの溶接端、ブラインド形フランジの中央部の突起又はへこみ、レジュースフランジ、寸法表
・仕上げ:
基本事項、ガスケット座面の仕上げ、ボルト穴、ナットの接触面の仕上げ・平行度、ざぐり又は背面仕上げを行った場合のフランジ厚さ、ざぐり径、背面仕上げの最小径、一体形フランジのボルト穴
・材料試験、検査(一般事項、外観検査、寸法検査、表面粗さ検査、非破壊検査、水圧試験)
・表示(表示方法と内容、色別表示)、受領拒否、発送
・付属書1(ボルト及びナット) 、付属書2(スタブエンド)
・参考表(フランジ溶接端部の厚さ及び内径寸法、550Aフランジの寸法、フランジの近似質量)
JPI-7S-43-01 石油工業用大口径フランジ
概要:
主に石油工業用の機器や配管などのフランジのうち、呼び径650A〜1500Aのフランジに用いられるフランジ規格で、API-Std605、MSS-SP-44、ASME-B16.47を参考にして作成された規格。
以下、規格の内容。
・適用範囲 寸法系列: シリーズA・シリーズB、クラス:75、150、300、400、600、900、材料:炭素鋼、低合金鋼、ステンレス鋼―鍛鋼・(ブラインド用鋼板)、呼び径:650〜1500
・形状・ガスケット座の種類(突合せ溶接形、ブラインド形、平面座、リングジョイント座)
・圧力-温度基準(P-Tレーティング)
・ボルト・ナット
・材料、製造方法(熱処理)
・形状・寸法・寸法許容差全面座のフランジ厚さ、突合せ溶接部の開先形状、ブラインド形フランジの中央部の突起、寸法
・仕上げ:
基本原則、ガスケット座面の仕上げ、ガスケット座面の表面仕上げ、平面座の表面加工と工具ボルト穴・ざぐり又は背面仕上げの平行度、ざぐり又は背面仕上げを行った場合のフランジの厚さ、ざぐり径、背面仕上げの最小径
・材料試験、検査(一般事項、外観検査、寸法検査、表面粗さ検査、非破壊検査、補修、水圧試験)
・表示(表示方法と内容、色別表示)、受領拒否、発送、保証、
・ボルト長さの計算方法
JPI-7S-44-73 石油工業用熱交換器フランジ
概要:
主に、石油工業用の熱交換器に用いる炭素鋼鍛鋼製胴フランジについて。
以下、規格の内容。
・適用範囲、分類(JPI5K〜JPI50K)、材料(SF45、S25C)、ガスケット・ボルト・ナット
・呼び径:300〜2000mm、製造方法
・形状・寸法・寸法公差:
外径、厚さ、全長、ハブ先・元径、ボルト穴の中心径、穴径、ボルト径、ガスケット内・外径、重量
・仕上げ、試験・検査(材料試験、製品試験、再試験、外観検査、寸法検査、非破壊検査、水圧試験)
・表示(表示項目、色別表示)、受領拒否、発送、保証、
・規定1ガスケット(材質・形状・性質・寸法・寸法許容差)
・規定2ボルト・ナット(材質・形状・性質)
JPI-7S-65-05 フランジ及びバルブのP−Tレイティング
概要:
石油学会に規定されたフランジ及びバルブ規格の圧力-温度基準(P-Tレーティング)、材料を規定をした規格で、ANSI/ASME-B16.34、ANSI/ASME B16.5を参考にして作成された規格。
以下、規格の内容。
・適用範囲 クラス: クラス 75、150、300、400、600、800、900、1500、2500、材料:炭素鋼、低合金鋼、ステンレス鋼、ニッケル、ニッケル合金
・引用規格、定義、材料(一般、バルブ用材料の特記事項)
・P-Tレイティング(溶接構造のバルブ、P-Tレイティングを適用する場合の温度に対する考慮事項)
・付表1(材料の種類)、付表2(P-Tレイティング)、付表3(引用規格)
・参考(P-Tレイティングの設定方法)
JPI-7S-73-00 石油工業用オリフィスフランジ
概要:
主に石油工業用のオリフィスフランジに用いられるフランジ規格で、ANSI/ASME-B16.36を参考にして作成された規格。
以下、規格の内容。
・適用範囲 クラス:
クラス 150、300、400、600、900、1500、2500、材料:炭素鋼、低合金鋼、ステンレス鋼、ニッケル、ニッケル合金の鍛造 品、呼び径:25〜600A
・形状・寸法(外径、内径、ハブ元・先の径、平面座の径、厚さ、ボルト中心円径、ボルト穴数、穴径、長さ、ジャッキスクリューねじの呼び・長さ)平面座の高さ、フランジの溶接端)
・圧力取出口(圧力取出口の穴、中心軸、位置、呼び、溶接部、圧力取出口の高さ、リングジョイント座と圧力取出口穴の干渉防止、プラグの形状・寸法)
・寸法許容差、仕上げ(圧力取出口、ジャッキスクリュー用穴の加工)
・ジャッキスクリュー、表示
JPI-7S-74-02 石油工業用アルミニウム合金製フランジ
概要:
主に石油工業用のアルミニウム合金製のフランジに用いられるフランジ規格で、JIS B 2206(アルミニウム合金製管フランジの計算基準)を参考にして作成されたJPI規格独自の規格。
以下、規格の内容。
・適用範囲 クラス:
クラス 150、300、400、600、材料:アルミニウム合金、呼び径:15〜600A
・形状・ガスケット座(突合せ溶接形、平面座)
・圧力-温度基準(P-Tレーティング)、製造方法
・寸法、寸法許容差(外径、内径、ハブ元・先の径、平面座の径、厚さ、全長、ボルト中心円径、ボルト穴数、ボルト穴径、ボルト長さ)
・ボルト・ナット、仕上げ、試験、検査(一般、外観検査、寸法検査、非破壊検査、水圧試験)
・表示、受領拒否、発送

配管フランジ-固定式管継手


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