配管図面における分岐配管継手(ティー継手以外)の記号例・製図方法
ここではティー継手以外で本管から配管を分岐させるために用いる配管継手(フィッティング)を、配管図面に製図する場合の分岐配管継手ーの図記号例、図面の描き方・製図方法について例を挙げてまとめています。
ティー継手を用いる方法以外で本管から配管を分岐させる方法としては、ボス、ハーフカップリング、オーレット(ウェルドレット・ソコレット・スレッドレット)などの配管分岐用継手を用いたり、イモ継ぎ(ブランチコネクション)する分岐方法などがあります。
配管の状態を正投影法により二次元的に表現する組立図や平面配管図・立面配管図に図示する場合の分岐配管継手の記号や、等角図(アイソメ図)に図示する場合の分岐配管継手の記号、配管との接続方法の違いによる分岐配管継手の図記号など、それぞれの場合の製図方法を例を挙げて説明します。
■ オーレットとは
オーレットとは、アウトレット(Outlet)とも言われ、以下の図のように、本配管に引出し穴をあけて、枝配管を接続する管継手(フィッティング)のことです。
配管との接続方法の違いによって、主に以下の種類があります。
- ウェルドレット(突合せ溶接式)
- ソコレット(差込み溶接式)
- スレッドレット(ねじ込み式)
■ ハーフカップリングとは
ハーフカップリングとは、英語では”Half Coupling”と書かれ、一端を機器や、配管の側面などに溶接し、他端を配管にねじ込み又は差込み溶接で接続する管継手(フィッティング)のことです。
JISでは、JIS B 2316(配管用鋼製差込み溶接式管継手)などに”HC”の記号で規定されています。
■ ボスとは
ボスとは、英語では”Boss”と書かれ、上述のオーレット(アウトレット)やハーフカップリングと同じように、本配管に引出し穴をあけて、枝配管を接続する管継手(フィッティング)のことです。
配管との接続方法の違いによって、差込み溶接式とねじ込み式のボスがあります。
ボスやオーレットは、分岐管が主管の口径よりも非常に小さく、市販のティー継手(T)が使用できない場合などに利用される継手です。
■ ブランチコネクションとは
ブランチコネクションとは、俗に”イモ継ぎ”などとも呼ばれ、本配管に引出し穴をあけて、枝配管を直接本配管に接続する分岐部分のことでを言います。
ブランチコネクションは、主に大口径の分岐などで利用される接続方法ですが、ティー継手(T)や上述のオーレットやボス、ハーフカップリングなどを使用せず、分岐部の強度が配管サイズや厚さなどへの依存度が大きいことから、強度を要する分岐部では強度計算が必要になる場合もあります。
強度が必要とされるブランチコネクションでは、補強板を溶接して強度を増します。
■ 図示記号の配置の説明
以降に示す分岐配管継手記号(分岐配管継手継手の書き方)の図示記号の配置の意味は次のようになります。
- A.平面図:上から正投影した場合の図示例
- B.立面図(側面から見た図):A.平面図を手前上から正投影した場合の図示例
- C.立面図(側面から見た図):B.立面図を右側から正投影した場合の図示例
- D.等角図(アイソメ図):等角投影した図示例
■ オーレット(アウトレット)継手の図示記号例・製図方法例
オーレット(アウトレット)継手を、正投影法により平面図及び立面図の配管図面や、等角投影によりアイソメ図(等角図)に製図する場合の表示記号例を以下に示します。
- 【ウェルドレット(突合せ溶接式オーレット継手)の記号例】(1形)
- 【ウェルドレット(突合せ溶接式オーレット継手)の記号例】(2形)
- 【ソコレット及びスレッドレット(差込溶接式及びねじ込み式オーレットの記号例】(1形)
- 【ソコレット及びスレッドレット(差込溶接式及びねじ込み式オーレットの記号例】(2形)
■ ハーフカップリング継手及びボス継手の図示記号例・製図方法例
ハーフカップリング継手及びボス継手を、正投影法により平面図及び立面図の配管図面や、等角投影によりアイソメ図(等角図)に製図する場合の表示記号例を以下に示します。
- 【差込み溶接式及びねじ込み式 ハーフカップリング継手及びボス継手の記号例】(1形)
- 【差込み溶接式及びねじ込み式 ハーフカップリング継手及びボス継手の記号例】(2形)
■ ブランチコネクションの図示記号例・製図方法例
ブランチコネクションを、正投影法により平面図及び立面図の配管図面や、等角投影によりアイソメ図(等角図)に製図する場合の表示記号例を以下に示します。
- 【補強板なしブランチコネクションの記号例】(1形)
- 【補強板なしブランチコネクションの記号例】(2形)
- 【補強板付きブランチコネクションの記号例】(1形)
- 【補強板付きブランチコネクションの記号例】(2形)
- 備考1.
- 1形と2形のオーレット、ハーフカップリング、ボス及びブランチコネクション図記号は、配管径と図面との尺度を勘案して使い分けます。
ただし、同一配管系では、1形・2形の図記号を混用してはいけません。
なお、図面との縮尺にもよりますが、2形の図示記号は、一般的には呼び径14B(350A)くらいを境にしてそれより大きな配管径の場合に用いられます。