配管図面における計装記号(流量計・圧力計等の計器類)の図記号例・製図方法
ここでは配管系取り付けられる流量計、圧力計、温度計などの計器類の計装記号を、配管図面に製図する場合の計装記号の図記号表示例、図面の書き方・製図方法について例を挙げてまとめています。
配管の状態を正投影法により二次元的に表現する組立図や平面配管図・立面配管図に図示する場合の流量計記号や、等角図(アイソメ図)に図示する場合の計器図記号、配管との接続方法の違いによる計装図記号など、それぞれの場合の製図方法を例を挙げて説明します。
■ 流量計とは
流量計とは、英語では”flowmeter”と書き、主に配管の内部流体など、流体の流量を測定する計装機器のことをいいます。
流量計には、用途や測定する流体の種類(液体、気体、蒸気、スラリーなど)や流体性状(高粘度、腐食性流体など)、流路の形状など、各種条件に適したさまざまな種類の流量計があり、主に次のような流量計があります。
- 差圧式流量計(オリフィス流量計)
- コリオリ式質量流量計
- 渦流量計(カルマン渦流量計)
- 容積流量計
- 面積流量計
- 電磁流量計
- 超音波流量計
- 熱式質量流量計
- タービン流量計
- 羽根車式流量計
- ピトー管
■差圧式流量計(オリフィス流量計)
配管の途中にオリフィスプレート(下図のように中央に穴の開いた板)を設置して、オリフィスプレートの前後の圧力差を利用する流量計。
液体、気体、蒸気、スラリー(スラリーは工夫が必要)各種の流体が計測でき、小流量から大流量まで測れる。
広い適用範囲をもち、構造が簡単で低価格、実流校正が不用などの特徴がある。
■電磁流量計
流体の流れの方向と直角に磁界を発生させ、その磁界内を導電性液体が移動することによって発生する起電力から流量を求める流量計。
管路外から非接触で測定可能で精度が高いため工業的に良く利用される。
流れを妨げるものがまったくないため圧力損失がなく、スラリーも測定可能、構造が簡単で故障しにくい、密度・粘度の影響を受けない、広い流量範囲が測定可能、高精度で応答が速い、必要直管長が短いなどの特徴がある。
■ 圧力計とは
圧力計とは、英語では”pressure gauge”と書き、圧力(単位面積にかかる力)を測定する計装機器のことをいいます。
代表的な圧力計には、ブルドン管圧力計やダイヤフラム圧力計などがあります。
ブルドン管圧力計とは、ブルドン管の圧力による変形量を機械式に拡大して直接、ゲージ圧(※1.)を測定する単針・同心の丸形指示圧力計です。
(下図参照。)
上の左側の図は、ブルドン管圧力計の内部を模式的に表した図ですが、この前面に圧力値を指し示す目盛板と指針が取り付けられ、さらにその上にカバーをかぶせた構造が一般的なブルドン管圧力計の構造になります。
プルドン管圧力計目盛板の圧力の単位は、パスカル(単位記号:Pa)とし、メガパスカル(MPa)又はキロパスカル(kPa)が使用されます。
(※1.)圧力の種類
圧力の種類には、以下のような種類があります。
- ゲージ圧
- 大気圧又は周囲の圧力を基準として表した圧力であって、絶対圧とは異なるもの。
大気圧又は周囲の圧力をゼロとし、それより高い圧力及び低い圧力をそれぞれ正のゲージ圧並びに負のゲージ圧という。
(以下の”圧力の種類の説明図”参照。) - 圧力計
- 正のゲージ圧を測定するもの。
- 真空計
- 負のゲージ圧を測定するもの。
- 連成計
- 正及び負のゲージ圧を測定するもの。
その目盛は、正のゲージ圧を示す圧力部と、負のゲージ圧を示す真空分とからなる。
■ 温度計とは
温度計とは、英語では”thermometer”と書き、温度を測定する計装機器の総称ですが、広義では家庭用から工業用まで多岐に渡ります。
工業分野で配管内部の流体温度の計測などに用いられる温度計には、蒸気圧式指示温度計などがあります。
(下図参照。)
蒸気圧式指示温度計は、感温部、導管部及び指示部から構成され、感温筒内は低温揮発性の液体とその蒸気で満たされている温度計です。
感温部周囲の温度が変化すると、低温揮発性液体の飽和蒸気圧が変化し、導管を経てブルドン管内部の圧力も変化します。
蒸気圧式指示温度計は、この原理を利用し、ブルドン管の変位を、伝達機構や拡大装置により等変位に拡大し、指針にて目盛板上に温度を指示します。
■ 図示記号の配置の説明
以降に示す計装記号(流量計などの計器類の書き方)の図示記号の配置の意味は次のようになります。
- A.平面図:上から正投影した場合の図示例
- B.立面図(側面から見た図):A.平面図を手前上から正投影した場合の図示例
- C.立面図(側面から見た図):B.立面図を右側から正投影した場合の図示例
- D.等角図(アイソメ図):等角投影した図示例
■ 流量計記号(オリフィスプレート式流量計の計装記号)の製図方法例
オリフィスプレート式流量計の計装記号を、正投影法により平面図及び立面図の配管図面や、等角投影によりアイソメ図(等角図)に製図する場合の図記号例を以下に示します。
- 【オリフィスプレート式流量計の計装記号の図記号例】
■ 流量計記号(リングタイプオリフィス式流量計の計装記号)の製図方法例
リングタイプオリフィス式流量計の計装記号を、正投影法により平面図及び立面図の配管図面や、等角投影によりアイソメ図(等角図)に製図する場合の図記号例を以下に示します。
- 【リングタイプオリフィス式流量計の計装記号の図記号例】
■ 圧力計記号の製図方法例
圧力計の計装記号を、正投影法により平面図及び立面図の配管図面や、等角投影によりアイソメ図(等角図)に製図する場合の図記号例を以下に示します。
- 【圧力計の計装記号の図記号例】
■ 温度計記号の製図方法例
温度計の計装記号を、正投影法により平面図及び立面図の配管図面や、等角投影によりアイソメ図(等角図)に製図する場合の図記号例を以下に示します。
- 【温度計の計装記号の図記号例】
- 備考1.
- 配管図における上記の流量計などの計器類の表示には、フローシートなどの図面に表示される計装図と同様に、以下の例のように計装用記号(JIS Z 8204 計装用記号)を用います。
(以下は、圧力計の計装用記号の例)
- 【圧力計の計装用記号の書き方の例】