STPA12・20・22・23・24・25・26(配管用合金鋼鋼管)の配管サイズ、重量等
ここでは主に高温度の配管に用いる合金鋼鋼管(STPA12・20・22・23・24・25・26)の配管サイズ寸法・径、重量、寸法許容差、肉厚(厚さ)、特性などの資料をまとめています。
JISでは外径の標準寸法サイズは、10.5mm〜660.4mmの範囲まで(呼び径が1/8B〜26Bの範囲まで)、配管肉厚は呼び厚さが Sch10〜Sch160 のスケジュールパイプが規定されています。
■ STPA-配管用合金鋼鋼管の種類や表示記号等
配管用合金鋼鋼管は、Cr(クロム)、Mo(モリブデン)などの元素を含有し、ボイラ用、火力発電用の主配管・再熱器管、石油精製や化学工業用の高温、高圧配管などに用いられる合金鋼鋼管です。
配管サイズ・寸法の呼び方は、『呼び径×呼び厚さ』で表されます。
呼び厚さには、スケジュール番号(Sch番号)が用いられています。
例:250A×Sch60 (又は 10B×Sch60)
JIS規格においては、以下のJISで規定されている配管になります。
- JIS G 3458 配管用合金鋼鋼管
配管用合金鋼鋼管のJISに類似する対応外国規格(海外規格)には以下などがあります。
・ASTM A335、A405
・BS 3604
・DIN 17175、17177
配管用合金鋼鋼管の種類には、以下の7種類のパイプがあります。
- STPA12(モリブデン鋼鋼管)
- STPA20(クロムモリブデン鋼鋼管)
- STPA22(クロムモリブデン鋼鋼管)
- STPA23(クロムモリブデン鋼鋼管)
- STPA24(クロムモリブデン鋼鋼管)
- STPA25(クロムモリブデン鋼鋼管)
- STPA26(クロムモリブデン鋼鋼管)
また、STPA配管の製造方法・仕上方法を表す記号にはそれぞれ以下が用いられます。
- 製造方法を表す記号
- ・継目無し:S
- 仕上方法を表す記号
- ・熱間仕上げ:H
・冷間仕上げ:C
STPAパイプの製品表示は、上記の記号を組み合わせて使い、以下のように表示されます。
- 熱間仕上継目無鋼管(熱間仕上シームレスパイプ) -S-H
- 冷間仕上継目無鋼管(冷間仕上シームレスパイプ) -S-C
例:熱間仕上継目無鋼管STPA12 の場合 : STPA12-S-H
■ 製造方法、化学成分、機械的性質等
STPA配管の製造方法、化学成分、機械的性質などは以下のような仕様となっています(JIS規格より)。
- 製造方法
- 製造方法は、継目無鋼管(シームレスパイプ)として製造され、熱間仕上げ又は冷間仕上げによって仕上げられます。
STPAパイプは以下の熱処理を施します。ただし、以下の方法以外の熱処理については、受渡当事者間の協定によることなっています。
- STPA12の場合
- 低温焼なまし、等温焼なまし、完全焼なまし、焼ならし、又は焼ならし後焼戻し
- STPA20・STPA22の場合
- 低温焼なまし、等温焼なまし、完全焼なまし、又は焼ならし後焼戻し
- STPA23・STPA24・STPA25・STPA26の場合
- 等温焼なまし、完全焼なまし、又は焼ならし後焼戻し
備考:STPA23・STPA24・STPA25及びSTPA26の焼戻し温度は、650℃以上とする。
パイプの両端は、注文者の指定があればベベルエンドに加工してもよいことになっていますが、特に指定のない限り、厚さ(パイプ肉厚)22mm以下のパイプのベベルエンドの形状は以下となります。
- 化学成分
- STPA配管の化学成分(溶鋼分析値)は、分析試験が行われ、それぞれ以下の数値となります。
【STPA12】
・C:0.10〜0.20%
・Si:0.10〜0.50%
・Mn:0.30〜0.80%
・P:0.035%以下
・S:0.035%以下
・Cr:−
・Mo:0.45〜0.65%
【STPA20】
・C:0.10〜0.20%
・Si:0.10〜0.50%
・Mn:0.30〜0.60%
・P:0.035%以下
・S:0.035%以下
・Cr:0.50〜0.80%
・Mo:0.40〜0.65%
【STPA22】
・C:0.15%以下
・Si:0.50%以下
・Mn:0.30〜0.60%
・P:0.035%以下
・S:0.035%以下
・Cr:0.80〜1.25%
・Mo:0.45〜0.65%
【STPA23】
・C:0.15%以下
・Si:0.50〜1.00%
・Mn:0.30〜0.60%
・P:0.030%以下
・S:0.030%以下
・Cr:1.00〜1.50%
・Mo:0.45〜0.65%
【STPA24】
・C:0.15%以下
・Si:0.50%以下
・Mn:0.30〜0.60%
・P:0.030%以下
・S:0.030%以下
・Cr:1.90〜2.60%
・Mo:0.87〜1.13%
【STPA25】
・C:0.15%以下
・Si:0.50%以下
・Mn:0.30〜0.60%
・P:0.030%以下
・S:0.030%以下
・Cr:4.00〜6.00%
・Mo:0.45〜0.65%
【STPA26】
・C:0.15%以下
・Si:0.25〜1.00%
・Mn:0.30〜0.60%
・P:0.030%以下
・S:0.030%以下
・Cr:8.00〜10.00%
・Mo:0.90〜1.10%
また、製品分析値については、注文者が要求する場合に試験を行い、その値は、上記の化学成分(溶鋼分析値)によります。
- 機械的性質
- STPA配管は、引張強さ、降伏点又は耐力、及び伸びに関して引張試験が行われ、それぞれ以下の数値となります(伸びの数値は割愛)。
【STPA12】
・引張強さ(N/mm2):380以上
・降伏点又は耐力(N/mm2):205以上
【STPA20・STPA22・STPA23・STPA24・STPA25・STPA26】
・引張強さ(N/mm2):410以上
・降伏点又は耐力(N/mm2):205以上
なお、外径40mm未満のパイプについては、上記の値は適用されません。
そのほか、JISにはへん平性についても規定があります。
■ STPA鋼管の配管サイズ・径・厚さ・重量、寸法許容差
STPAパイプの配管サイズ寸法・径、呼び厚さ(肉厚)ごとの、単位重量(質量)は以下の表になります。
特に、上記のサイズ表以外の寸法を必要とする場合は、受渡当事者間の協定によることになります。
単位重量(質量)の数値は、1cm3 の鋼を 7.85g とし、以下の式によって計算される数値です。
W=At(D−t)
ここに、
W:管の単位質量(kg/m)
t:管の厚さ(mm)
D:管の外径(mm)
A:Wを求めるための単位の変換係数で、A=0.02466
- 寸法許容差
- STPA配管の外径サイズ、厚さ(肉厚)及び偏肉の寸法許容差は、それぞれ以下となります。
なお、パイプの長さの寸法許容差は、特に指定のない限り、注文長さ以上となります。
【熱間仕上継目無管の場合】
■外径の許容差:
・外径50mm未満:±0.5mm
・外径50mm以上 160mm未満:±1%
・外径160mm以上 200mm未満:±1.6mm
・外径200mm以上:±0.8%
ただし、外径350mm以上は周長によってもよく、その場合の許容差は±0.5%とする。
■厚さの許容差:
厚さ 4mm未満:±0.5mm
厚さ 4mm以上:±12.5%
■偏肉の許容差:厚さの20%以下
【冷間仕上継目無管の場合】
■外径の許容差:
・外径40mm未満:±0.3mm
・外径40mm以上:±0.8%
ただし、外径350mm以上は周長によってもよく、その場合の許容差は±0.5%とする。
■厚さの許容差:
厚さ 2mm未満:±0.2mm
厚さ 2mm以上:±10%
■偏肉の許容差:−
偏肉とは、同一断面における測定厚さの最大と最小との差の注文厚さに対する割合をいい、厚さ5.6mm未満のパイプには適用されません。
なお、手入部などの局所的な部分については、厚さが上記の許容差を満足していることが確認できる場合には、上記の外径の許容差は適用されません。
また、外径の測定に周長を用いる場合の判定は、周長実測値又は実測値の換算外径のいずれかによっても良く、いずれも同一許容差(±0.5%)を適用します。
この場合、外径(D)と周長(l)の相互換算は、次の式によって計算されます。
l=π×D
l:周長(mm)、π=3.1416、D:外径(mm)