ボイラ・熱交換器用合金鋼管 STBA12・STBA23・STBA24等の配管サイズ、重量等

ここではボイラの水管、煙管、過熱器、空気予熱器や、化学工業・石油工業・環境プラントなどの熱交換器、コンデンサ管、触媒管などに使用される合金鋼管である、ボイラ・熱交換器用合金鋼管(STBA12、STBA13、STBA20、STBA22、STBA23、STBA24、STBA25 及び STBA26)の配管サイズ寸法・径、重量、寸法許容差、肉厚(厚さ)、特性などの資料をまとめています。

ボイラ・熱交換器用合金鋼管は、配管の内部流体と外部との間で熱の授受を行うための熱交換用鋼管(熱伝達用鋼管)の合金鋼管として用いられます。

JISでは外径の標準寸法サイズは、15.9mm〜139.8mmの範囲まで、配管肉厚は厚さが 1.2mm〜12.5mm までのボイラ・熱交換器用合金鋼管が規定されています。


■ STBA-ボイラ・熱交換器用合金鋼管の規格、種類や表示記号等

ボイラ・熱交換器用合金鋼管は、温度・圧力のやや高い部所に対応できる耐熱、耐高温性を要するボイラの水管、煙管、過熱管、空気予熱管および化学工業用熱熱交換器配管に用いられる合金鋼管です。

配管サイズ・寸法の呼び方は、配管用鋼管で用いられる呼び径スケジュール番号(Sch番号)は使われず、外径サイズ・厚さとも、ミリ寸法で表されます。

例:45.0×3.5 (外径mm×厚さmm)

JIS規格においては、以下のJISで規定されている配管になります。

  • JIS G 3462 ボイラ・熱交換器用合金鋼管

JIS G 3462(ボイラ・熱交換器用合金鋼管)の国際対応規格は以下になります。

  • ISO 9329-2:1997 Seamless steel tubes for pressure purposes -- Technical delivery conditions -- Part 2: Unalloyed and alloyed steels with specified elevated temperature properties - 圧力用継目無管−技術的出荷条件−第2部:規定高温特性を持つ非合金及び合金鋼
  • ISO 9330-2:1997 Welded steel tubes for pressure purposes -- Technical delivery conditions -- Part 2: Electric resistance and induction welded unalloyed and alloyed steel tubes with specified elevated temperature properties - 圧力用溶接鋼管−技術的出荷条件−第2部:規定高温特性を持つ非合金及び合金鋼管

なお、JIS G 3462(ボイラ・熱交換器用合金鋼管)は、加熱炉用鋼管と低温熱交換器用鋼管には適用されません。
加熱炉用鋼管及び低温熱交換器用鋼管に対応するJIS規格はそれぞれ以下のJIS規格になります。

  • JIS G 3467(加熱炉用鋼管)
  • JIS G 3464(低温熱交換器用鋼管)

ボイラ・熱交換器用合金鋼管のJISに類似する対応外国規格(海外規格)には以下などがあります。
・ASTM A161、A199、A179、A200、A209、A213、A250、A423
・BS 3059
・DIN 17175、17177

ボイラ・熱交換器用合金鋼管の種類には、以下の記号で表される8種類があります。

  • STBA12(モリブデン鋼鋼管)
  • STBA13(モリブデン鋼鋼管)
  • STBA20(クロムモリブデン鋼鋼管)
  • STBA22(クロムモリブデン鋼鋼管)
  • STBA23(クロムモリブデン鋼鋼管)
  • STBA24(クロムモリブデン鋼鋼管)
  • STBA25(クロムモリブデン鋼鋼管)
  • STBA26(クロムモリブデン鋼鋼管)

また、STBA12・STBA22・STBA25・STBA26等の鋼管の製造方法・仕上方法を表す記号にはそれぞれ以下が用いられます。

製造方法を表す記号
・継目無し:S
・電気抵抗溶接:E
仕上方法を表す記号
・熱間仕上げ:H
・冷間仕上げ:C
・熱間仕上・冷間仕上以外:G

STBA12・STBA23・STBA24・STBA25等パイプの製品表示は、上記の記号を組み合わせて使い、以下のように表示されます。

  • 熱間仕上継目無鋼管(熱間仕上シームレスパイプ) -S-H
  • 冷間仕上継目無鋼管(冷間仕上シームレスパイプ) -S-C
  • 熱間仕上・冷間仕上以外の電気抵抗溶接鋼管 -E-G
  • 熱間仕上電気抵抗溶接鋼管(熱間仕上電縫鋼管) -E-H
  • 冷間仕上電気抵抗溶接鋼管(冷間仕上電縫鋼管) -E-C

例1:冷間仕上継目無鋼管STBA24 の場合 : STBA24-S-C
例2:熱間仕上電気抵抗溶接鋼管STBA25 の場合 : STBA25-E-H


■ ボイラ・熱交換器用合金鋼管の製造方法、熱処理など

STBA12・STBA22・STBA25・STBA26等の合金鋼管の製造方法や熱処理は以下のような仕様となっています(JIS規格より)。

ボイラ・熱交換器用合金鋼管の製造方法
STBA12、STBA13、STBA20、STBA22、STBA23 及び STBA24の合金鋼管の製造方法は、熱間仕上継目無鋼管(シームレスパイプ)、冷間仕上継目無鋼管(シームレスパイプ)として製造するか又は、熱間仕上電気抵抗溶接鋼管 、冷間仕上電気抵抗溶接鋼管のいずれかとして製造します。
STBA25 及び STBA26の合金鋼管は、熱間仕上継目無鋼管(シームレスパイプ)又は、冷間仕上継目無鋼管(シームレスパイプ)として製造します。
ボイラ・熱交換器用合金鋼管の継目無鋼管(シームレスパイプ)と電気抵抗溶接鋼管(電縫鋼管)

ボイラ・熱交換器用合金鋼管の熱処理
STBA12・STBA23・STBA24・STBA25等の合金鋼管は、それぞれ以下の熱処理を行います。

STBA12、STBA13
低温焼なまし等温焼なまし完全焼なまし焼ならし又は焼ならし後焼戻し
STBA20、STBA22
低温焼なまし、等温焼なまし、完全焼なまし又は焼ならし後焼戻し
STBA23、STBA24、STBA25、STBA26
等温焼なまし、完全焼なまし又は焼ならし後焼戻し
備考:
・電気抵抗溶接鋼管には、低温焼なましは適用しません。
・STBA23、STBA24、STBA25 及び STBA26 の焼戻し温度は、650℃以上とします。

■ ボイラ・熱交換器用合金鋼管の化学成分

ボイラ・熱交換器用合金鋼管の化学成分は以下のような仕様となっています(JIS規格より)。

化学成分
STBA12・STBA23・STBA24・STBA25等パイプの化学成分(溶鋼分析値)は、分析試験が行われ、以下の数値となります。
※以下、単位は%

STBA12
C:0.10〜0.20/Si:0.10〜0.50/Mn:0.30〜0.80/P:0.035以下/S:0.035以下/Cr:−/Mo:0.45〜0.65
STBA13
C:0.15〜0.25/Si:0.10〜0.50/Mn:0.30〜0.80/P:0.035以下/S:0.035以下/Cr:−/Mo:0.45〜0.65
STBA20
C:0.10〜0.20/Si:0.10〜0.50/Mn:0.30〜0.60/P:0.035以下/S:0.035以下/Cr:0.50〜0.80/Mo:0.40〜0.65
STBA22
C:0.15以下/Si:0.50以下/Mn:0.30〜0.60/P:0.035以下/S:0.035以下/Cr:0.80〜1.25/Mo:0.45〜0.65
STBA23
C:0.15以下/Si:0.50〜1.00/Mn:0.30〜0.60/P:0.030以下/S:0.030以下/Cr:1.00〜1.50/Mo:0.45〜0.65
STBA24
C:0.15以下/Si:0.50以下/Mn:0.30〜0.60/P:0.030以下/S:0.030以下/Cr:1.90〜2.60/Mo:0.87〜1.13
STBA25
C:0.15以下/Si:0.50以下/Mn:0.30〜0.60/P:0.030以下/S:0.030以下/Cr:4.00〜6.00/Mo:0.45〜0.65
STBA26
C:0.15以下/Si:0.25〜1.00/Mn:0.30〜0.60/P:0.030以下/S:0.030以下/Cr:8.00〜10.00/Mo:0.90〜1.10
備考:
注文者がボイラ・熱交換器用合金鋼管の製品分析(※1)を要求する場合には、上記の成分値によります。
(※1)
製品分析とは、圧延又は鍛造された製品から採取した分析用試料について行う化学成分の分析のことです。
これに対し、溶鋼分析とは、溶鋼がとりべから鋳型に注入され、凝固するまでの過程で採取した分析用試料について行う化学成分の分析のことです。

■ ボイラ・熱交換器用合金鋼管の機械的性質

ボイラ・熱交換器用合金鋼管の機械的性質(引張強さ、降伏点又は耐力及び伸び)は以下のような数値となっています(JIS規格より)。

機械的性質(引張強さ/降伏点又は耐力/伸び)
STBA12・STBA22・STBA25・STBA26等の合金鋼管・パイプは、引張強さ、降伏点又は耐力及び伸びに関して引張試験が行われ、それぞれ以下の数値となります(伸びの数値は割愛)。
※以下、単位は N/mm2(なお、1N/mm2=1MPa)

STBA12
引張強さ:380以上/降伏点又は耐力:205以上
STBA13
引張強さ:410以上/降伏点又は耐力:205以上
STBA20
引張強さ:410以上/降伏点又は耐力:205以上
STBA22
引張強さ:410以上/降伏点又は耐力:205以上
STBA23
引張強さ:410以上/降伏点又は耐力:205以上
STBA24
引張強さ:410以上/降伏点又は耐力:205以上
STBA25
引張強さ:410以上/降伏点又は耐力:205以上
STBA26
引張強さ:410以上/降伏点又は耐力:205以上
備考1.
熱交換器用に限り、必要がある場合、注文者は引張強さの上限を指定してもよいことになっています。
この場合の引張強さの上限値は、上記の値に 150N/mm2 を加えた値とします。

機械的性質(へん平性)
ボイラ・熱交換器用合金鋼管は、へん平試験を行い、合金鋼管の壁に、きず、割れを生じてはいけません。

機械的性質(押し広げ性)
外径101.6mm以下のボイラ・熱交換器用合金鋼管は、押し広げ試験を行い、外径の1.14倍までらっぱ形に押し広げたとき、きずを生じてはいけません。
ただし、外径101.6mmを超えるパイプの押し広げ性は、注文者の要求がある場合に押し広げ性を適用します。

機械的性質(展開性)
電気抵抗溶接鋼管のボイラ・熱交換器用合金鋼管は、展開試験を行い、パイプの溶接部に、きず、割れなどを生じてはいけません。

その他、STBA12・STBA22・STBA25・STBA26等の合金鋼管については、JIS規格には以下の項目の規定があります。

  • 水圧試験特性又は非破壊検査特性
  • 外観
  • 試験
  • 検査

■ ボイラ・熱交換器用合金鋼管(STBA)の配管サイズ・径・厚さ・重量

STBA12・STBA23・STBA24・STBA25等パイプの配管サイズ寸法・径、厚さ(肉厚)ごとの、単位重量(質量)は、特に指定が無い限り、以下の表1になります。

表1.ボイラ・熱交換器用合金鋼管(STBA)のサイズ・径・厚さ・重量
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表1.ボイラ・熱交換器用合金鋼管(STBA)のサイズ・径・厚さ・重量

ボイラ・熱交換器用合金鋼管(STBA)の配管外径・肉厚・重量

単位重量(質量)の数値は、1cm3 の鋼を 7.85g とし、以下の式によって計算される数値です。

W=At(D−t)

ここに、
W:管の単位質量(kg/m)
t:管の厚さ(mm)
D:管の外径(mm)
A:Wを求めるための単位の変換係数で、A=0.02466

なお、取引に用いるパイプの単位質量は、熱間仕上継目無鋼管については表1の数値の15%増、冷間仕上継目無鋼管については、表1の数値の10%増、電気抵抗溶接鋼管については表1の数値の9%増をもって標準単位質量とされます。


■ ボイラ・熱交換器用合金鋼管(STBA)の寸法許容差

STBA12・STBA22・STBA25・STBA26等の合金鋼管のパイプの外径の許容差、パイプの厚さ及び偏肉の許容差及びパイプの長さの許容差は、それぞれ以下の通りとなります。

パイプ外径の許容差
STBA12・STBA23・STBA24・STBA25等パイプの配管外径の許容差は、以下の表2によります。

表2.ボイラ・熱交換器用合金鋼管(STBA)の配管外径の許容差
表2.ボイラ・熱交換器用合金鋼管(STBA)の配管外径の許容差
備考:
冷間仕上以外の電気抵抗溶接鋼管の外径の許容差は、特に注文者の要求ががる場合には、冷間仕上鋼管の外径の許容差を適用してもよいことになっています。

パイプの厚さ及び偏肉の許容差
STBA12・STBA23・STBA24・STBA25等パイプの配管厚さ及び偏肉の許容差は、以下の表3によります。

表3.ボイラ・熱交換器用合金鋼管(STBA)の配管厚さ及び偏肉の許容差
表3.ボイラ・熱交換器用合金鋼管(STBA)の配管厚さ及び偏肉の許容差差
備考1.
偏肉とは、同一断面における測定厚さの最大と最小との差の注文厚さに対する割合をいい、偏肉の許容差は、厚さ5.6mm未満のパイプには適用されません。
備考2.
厚さ及び偏肉の許容差で、数値にmmの単位を付していないものは、注文厚さに対する許容差割合を示します。

パイプの長さの許容差
STBA12・STBA22・STBA25・STBA26等パイプの長さの許容差は、以下の通りとなります。

外径50mm以下のボイラ・熱交換器用合金鋼管
■長さ7m以下の合金鋼管:+7mm、−0mm
■長さ7mを超える合金鋼管:
長さ3mごと及びその端数を増すごとに、上記のプラス側許容差に3mmを加える。ただし、最大値は15mmとする。
外径50mmを超えるのボイラ・熱交換器用合金鋼管
■長さ7m以下の合金鋼管:+10mm、−0mm
■長さ7mを超える合金鋼管:
長さ3mごと及びその端数を増すごとに、上記のプラス側許容差に3mmを加える。ただし、最大値は15mmとする。
備考:
特に正確な長さを必要とする場合、その許容差は、受渡当事者間の協定によります。

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